ブランディングのやり方と代表的な手法事例|最も重要なポイントとは
自社のブランディングについて悩んでいませんか?
この記事では「ブランディングのやり方」について解説します。
結論、ブランディングは長期的な施策として考えることが重要です。
ブランディングの具体的なやり方について解説するので、参考にしてください。
その他にも「代表的な手法」についても解説するので、ぜひ自社のブランディングを成功させましょう。
また「採用ブランディング」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。
ブランディングを簡単に解説
ブランディングとは、企業や商品を1つのブランドとして特化させるための施策です。
ブランドならではの強みや役割を構築し、可能な限り多くの人に、強い感情移入を促します。
企業名やロゴ、コピーやポジショニング、製品デザインなど、共通のイメージを世間に浸透させるのがブランディングです。
自社ブランドに独自の付加価値をつけ、競合との差別化を図ります。
ブランディングの目的とは
ユーザーに共通のイメージを持たせ、そのイメージを可能な限り多くの人に持ってもらうのが、ブランディングの主な目的です。
「あのサービスならこの会社」「この会社の商品は安心できる」など、自分にとって定着している商品やサービス、企業があるという方は多いでしょう。
ブランドイメージが定着すれば、高い利益率を維持できるようになり、経営を長く継続していく上で有利になります。
また、社会的な信頼を高めるのもブランディングの目的の1つです。
ブランディングの主な種類
ブランディングはターゲットや主体別に、主に以下の6つの手法に分類されます。
商品/サービスブランディング | 商品やサービス単位でブランディングする手法 |
企業ブランディング | 企業単位でブランディングする手法 |
アウターブランディング | 社外に向けてブランディングを行う手法 |
インナーブランディング | 社内に向けてブランディングを行う手法 |
BtoCブランディング | 企業が消費者に対して行うブランディング |
BtoBブランディング | 企業が企業に対して行うブランディング |
ブランディングの種類は、商品やサービス、企業によって最適な手法が異なり、どれが正解というわけではありません。
どの手法がターゲットに効果的なアプローチができるか、しっかり検討する必要があります。
ブランディングとマーケティングの違い
ブランディングとマーケティングを混合してとらえている方もいるかもしれませんが、この2つは似て非なるものです。
- ブランディング……消費者に共通のイメージをシェアさせて競合との差別化を図る
- マーケティング……商品やサービスを自然に購入してもらうための仕組みを作る
内容は異なりますが、切り離して考える必要はありません。
ブランディングでは「なぜやるのか」を考え、マーケティングでは「どのようにやるのか」を考えます。
ブランディングがうまく機能すれば、マーケティングに活きてくるので、連携して考えるのが大切です。
ブランディングのメリットとは
ブランディングは、企業の社会的価値を向上させるだけでなく、それに伴ってメリットも多くあります。
社会的価値の向上に付随して得られる代表的なメリットは以下の通りです。
- 価格競争からの脱却
- 人材採用がしやすくなる
- 市場を開拓しやすい
企業経営に携わっている方は、価格競争や人材の確保で悩んでいる方もいるでしょう。
そのような悩みもブランディングの導入で解決するかもしれません。
詳しく解説していくので、参考にしてください。
価格競争からの脱却
ブランディングがしっかりできていれば、近年激化している低価格競争からの脱却ができます。
価格競争は企業にとっても体力的な負担が多く、長期的に価格競争の渦中で戦っていても、企業を疲弊させるだけです。
ブランディングで社会的価値を向上させ、商品やサービスをブランドとして定着させれば、競争に関係なく消費者からの支持を得られます。
企業の不要な負担を軽減できるため、価格競争に悩まされている企業はブランディングを検討しましょう。
人材採用がしやすくなる
ブランディングは、人材採用にも大きな影響を及ぼします。
求職者は、知名度の高い企業や大手企業への就職を目指すのが大半です。
知名度の高い企業と、知名度の低い企業の両方から同条件の内定をもらった場合は、知名度の高い企業を選ぶケースがほとんどでしょう。
ブランディングで企業の価値を高め、会社の魅力や価値観をアピールできていれば、就職先や転職先として選んでもらえる確率は高くなります。
優秀な人材獲得のチャンスも拡げられるので、人材確保を視野に入れてブランディングを取り入れるのも良いでしょう。
市場を開拓しやすい
ブランディングによる企業価値の向上は、新たな市場の開拓にも役立ちます。
企業が未開拓の市場に新規参入する際、競争に参加するための武器を得るために、多大なコストが必要です。
しかし、印象が良い企業や顧客からの信頼度を勝ち取っている企業は、これまでに積み重ねた企業の信用やブランド要素がそのまま武器になります。
新しい市場にも参入しやすくなり、競合のネームバリューが低ければ、ビジネスとしての成功率も上がるでしょう。
ブランディングの始め方
ブランディングは、企業経営における利害関係者に対して、共通するブランドイメージを認識してもらうプロセス自体を指します。
ブランディングを行うのに必要になるのが、ブランド戦略によって考えられた施策です。
従って、まずは「誰に対して、どのような価値を感じてもらい、どのような認知をしてもらうか」というブランド戦略の設計から始めます。
ブランド戦略を設計するために、ブランドの構成要素についてもしっかり理解しておきましょう。
ブランドの構成要素を理解しておく
ブランド戦略の基盤となるブランドの構成要素について解説します。
企業ブランドにおける代表的な構成要素は以下の5つです。
- ビジョン……トップがどのような企業にしたいか
- カルチャー……従業員が自社に対してどう考えているか
- イメージ……どのような企業として見て欲しいか
- 価値……どのような価値観で企業が行動しているか
- 経験……どのような経験を顧客に与えられるか
ブランド戦略の立案においては「ビジョン」「カルチャー」「イメージ」の3つを一貫させるのが重要とされています。
ブランディングの手順
ブランディングを行っていく手順は、厳密には企業や状況によってさまざまです。
ただし、多くの企業は以下のような手順を基本として、ブランディングを行っています。
- 環境分析
- ブランドアイデンティティを考える
- アイデンティティを落とし込む
- クリエイティブの作成
手順の内容について詳しく解説するので、参考にしてください。
1.環境分析
ブランディングをしていくのに最初に行うのが環境分析です。
環境分析ではブランドの強みや弱み、置かれている状況や競合との違い、顧客の需要を明確化し、ターゲットユーザーや戦う場所を決めていきます。
3C分析やSWOT分析、PEST分析などのフレームワークを利用して、フレームを往復しながら、少しずつ分析していくのが一般的です。
ブランディングを展開するためのベースになるので、環境分析はしっかり取り組んでください。
2.ブランドアイデンティを考える
環境分析で戦う場所が確定したら、ブランドのコンセプトであるブランドアイデンティティについて考えていきます。
ターゲットユーザーに持って欲しいイメージや、提供したい価値などを決めていく作業です。
ブランドアイデンティティが定まると、そのブランドの武器が明確になってきます。
ブランドアイデンティティはブランディングの主軸になるのでしっかり考えましょう。
3.アイデンティティを落とし込む
ブランドアイデンティティが決まったら、アイデンティティを可視的メディアのベースとなるコードやスタイルに落とし込んでいきます。
コードとはキャッチコピーやタグラインなど、アイデンティティを言葉の形として表したものです。
スタイルはカラーやデザイン、ロゴのほか、製品や店舗のデザインも含め、目に見える形でアイデンティティを表現したものを指します。
制作会社や広告代理店に依頼したり、一緒に考えたりして落とし込んでいくのが一般的です。
4.クリエイティブの作成
アイデンティティの落とし込みができたら、コードやスタイルをベースに、メディアに発信するためのクリエイティブ(広告やコンテンツ)を作成します。
クリエイティブは、ブランドアイデンティティをターゲットに向けて発信するための、ポイントになるツールです。
また、クリエイティブを発信するメディアの選定も大事なポイントになります。
アプローチ方法や年齢層など、効果的にターゲットに届けられるよう、最適なメディアを選びましょう。
ブランディングの代表的な手法事例
ブランディングを成功させるのに大切なのは、多くの成功事例からさまざまな手法を学ぶことです。
いくつか代表的な手法事例を紹介するので、ブランディングの勉強に役立ててください。
基本となる商品/サービスブランディングと、企業ブランディングのリブランディングの事例を紹介します。
各ブランドが手法をどう活用しているのか、ブランディングの理解を深めるための参考にしてください。
東京ディズニーランドのサービスブランディング事例
東京ディズニーランドは「物語による感情移入」を武器に、顧客側とスタッフ側の両面から競争力を構築した、サービスブランディング事例の代表です。
誰もが「夢と魔法の国」と認識している東京ディズニーランドは、物語の力でブランドへの感情移入を促しています。
加えてブランド力を高めているのが、パークへの帰属心や貢献意欲が高い、ディズニー好きの優秀なスタッフたちによって形成された組織文化です。
ブランドの内側にあるその組織文化は「ディズニーらしい」個性的なサービスや接客を生み出しています。
Dove(ユニチャーム)の商品ブランディング事例
Doveはアメリカの石鹸ブランドで、従来汚れの除去を目的とした石鹸に潤いを与えるという付加価値をつけ、人気を得ました。
ブランドアイデンティティは「自分らしい美しさを肯定する=セルフエスティーム」で、既成概念にとらわれず、「本当の美」を知ってもらいたいという意図があります。
2010年には世界的に独自の調査を行い「自分を美しいと思っているのは、世界中の女性のわずか4%にすぎない」と、明らかにしました。
このようなブランドメッセージに、世界中の多くの女性が共感し、多くの支持を得ています。
商品ブランディングとして、ブランドへの信頼感や感情移入の形成に成功した事例です。
マツダの企業ブランディング事例(リブランディング)
国内4位の自動車メーカーであるマツダは、バブル崩壊後に企業ブランドの価値の低下を招きましたが、その後リブランディングに成功しています。
ターゲットの絞り込みを行い、他社との差別化として「100人のうち2人からマツダでなければ嫌だと言われる車を作る」というコンセプトを立てました。
ブランドアイデンティティは人生のドライバーを応援する意味を込めて「Be a driver」と設定し、「人」に焦点を合わせています。
加えて「デザインによるブランド感性価値」を重視し、デザイン性の高い車を数々発表して、独自のブランドポジショニングを確立しました。
ブランディングを行う上でのポイント
ブランディングは性質を正しく理解し、ツールを上手に活用すれば、より効果的に展開可能です。
ブランディングを行っていく上で、大切なポイントを3つ紹介します。
- ホームページやSNSを活用する
- 長期的な施策を考える
- コンテンツの制作に偏らない
それぞれ詳しく解説していくので参考にしてください。
ホームページやSNSを活用する
商品やサービスのプロモーションとして、インターネットの活用は欠かせません。
インターネットの普及率が高い昨今では、自社ホームページはブランディングに必須のツールです。
ホームページは維持費用が手頃で、アクセスさせるアプローチ方法も多いので、ブランディングの効果を高めるのに役立ちます。
また、SNSの有効活用も重要なポイントです。
SNSはユーザーと近い距離感でコミュニケーションが取れ、利用者目線の情報を得られるので、事業の改善にも役立ちます。
インターネット広告の市場規模はテレビ広告を上回っているので、ホームページやSNSは上手に活用しましょう。
長期的な施策を考える
ブランディングは短期的な効果が見込めるわけではありません。
中期的、もしくは長期的な期間で、徐々に効果が見られるのが一般的です。
従って、ブランディングのスケジューリングは、ある程度の期間を想定しなければなりません。
また、同じ業界にすでに強いブランドイメージを定着させている競合がいる場合、ブランディングのハードルが上がります。
その場合、より長いブランディング期間を要するので、長期間を前提として施策を立てるようにしてください。
コンテンツの制作に偏らない
SNSやプロモーション動画などのコンテンツは、ブランディングに役立ちますが、コンテンツ制作はブランディングそのものではありません。
ブランディングの主軸は、あくまでブランドアイデンティティです。
コンテンツ制作はブランドを浸透させるためのツールにすぎません。
なぜそのツールを利用するのか、また、どのようにツールを活用するのかが重要なポイントになります。
コンテンツが際立った成功例もありますが、際立っている箇所に注目するのではなく、どう活用されたのかに注目してみましょう。
ツールは適材適所で活用し、コンテンツ制作に偏ったブランディングにならないようにしてください。
自社のアイデンティティを重視した正しいブランディング
ブランディングで最も重要なのは、アイデンティティです。
世の中には様々なブランディングの方法が紹介されていますが、方法のとおりに行うのは正しいブランディングとは言えません。
自社のアイデンティティを明確にし、アイデンティティを軸に打ち出していくことこそが、正しいブランディングと言えるでしょう。
ブランディングに正解の形はありませんが、信念や軸を大事にしながら、自社のブランドを育ててください。