ポリティカル・コレクトネス対策とは? 知っておきたい対策方法と問題点を徹底解説

ポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)対策が重要なことをあなたは知っていますか?

この記事では「ポリティカル・コレクトネス対策」について解説していきます。結論、ポリティカル・コレクトネス対策はダイバーシティ経営にとって必須です。ポリティカル・コレクトネス対策を検討する際、知っておきたい「対策の効果」を調査した結果をまとめたので、ぜひ見ていただければと思います。

その他にも「ポリティカル・コレクトネス」の説明や「事例」、「ポリティカル・コレクトネスが抱える問題」について説明していきたいと思いますので、ぜひこの記事を読んでポリティカル・コレクトネス対策へ役立てていただければ幸いです。

また「誤爆とは」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。

ポリティカル・コレクトネスは政治的な正しさという意味

ポリティカル・コレクトネスは政治的な正しさという意味

近年騒がれているポリティカル・コレクトネス(Political Correctness)は、ポリコレとも呼ばれています。長い言葉でもあるため、頭文字を取ってPCと呼ばれることも。直訳すると、政治的な正しさという意味になります。

ポリティカル・コレクトネスは特定のグループに対して差別的な意味や誤解を含まないようにすることを目的としています。つまり、ポリティカル・コレクトネスを意識することで、政治的・社会的に公平で中立的な立場であると表明できるのです。

ポリティカル・コレクトネスの発祥はアメリカ

ポリティカル・コレクトネスの発祥はアメリカ

ポリティカル・コレクトネスの発祥は古く、1900年代のアメリカにまで遡ります。当時は政治家的活動から始まりました。そのため政治的正しさの厳守を求める言葉として利用された経緯があります。直訳からもその由来がうかがい知れます。

その後、人種や民族、ジェンダーといったアメリカが抱える差別・問題を助長しないように使われ始め、世界各国へと広がったのです。

ポリティカル・コレクトネスの事例

ポリティカル・コレクトネスの事例

ポリティカル・コレクトネスは世界中で多くの事柄に影響を与えています。中でも代表的なのが以下の6つです。企業がポリティカル・コレクトネス対策をする場合、真っ先に意識しましょう。

  • 人種表現
  • 職業名称
  • 敬称
  • 服装規定
  • 性的指向
  • 宗教の自由

人種表現

人種表現はポリティカル・コレクトネスで最も意識される内容です。人種のサラダボウルとも呼ばれるアメリカでは特に顕著と言えるでしょう。近年ではハリウッド映画を始め、様々な映像作品で人種表現が物議をかもしています。

中でも近年用いられている人種表現の変更は以下の通りです。

元の言葉変更後の言葉
OrientalAsian(黄色人種)
BlackAfrican American(黒人)
IndianNative America(アメリカの先住民)
肌色ペールオレンジ/うすだいだい

このように地域全体を指す言葉へと変更されています。外国人を雇用する際に注意したいポイントです。

職業名称

職業名称もまたポリティカル・コレクトネスの影響を強く受けているものです。性別を連想する名称が多用されていたことから、多くの職業で名称が変更されています。代表的なのは以下でしょう。

元の名称変更後の名称
看護婦看護師
保母保育士
カメラマンフォトグラファー
スチュワーデス/スチュワートキャビンアテンダント/客室乗務員
彼氏/彼女パートナー
ビジネスマンビジネスパーソン

性別を連想させるものを言い換えているのが特徴です。国際的にもこの流れは大きく、様々な職業で名称が変更されています。

敬称

ポリコレの事例:敬称

人を呼ぶときに使う敬称もポリティカル・コレクトネスの影響を受けています。これは性的指向によって苦痛を感じる呼び方があるためです。従来は男性・女性とわけた呼び方がされていましたが、現在はさん付けが主流となっています。

どんな性別でも使える呼び方が理想です。教育現場では男女別の出席番号も廃止されつつあります。この流れは今後主流となるでしょう。

服装規定

服装の規定もポリティカル・コレクトネスの影響を受けています。性別により服装を規定することは差別的であるという風潮からです。

中でも最も影響を受けているのは学生服。男女とも明確に決まっているものでしたが、近年は女性がズボン・スカートを選べるようになってきています。
一方で男性には選択の余地がまだありません。今後の取り組みとして期待されています。

性的指向

性的指向はポリティカル・コレクトネスの代表格といえます。特にLGBTQ+は有名です。特定の性的志向性が非難されたり侮辱されたりしてはいけないという考え方から来ています。

性的指向は人によって違うので、型に当てはめて考えないことが大切です。戸籍上の性と性自認が異なる人の場合、自分の意志と反する社会既定だと苦痛を感じます。

そういったケースから、社会には性的指向に配慮し、様々な価値観を受け入れることが求められています。

宗教の自由

ポリコレの事例:宗教の事例

宗教の自由もまたポリティカル・コレクトネスの考え方の1つです。宗教は歴史上最も差別を助長してきたものでもあります。そのためポリティカル・コレクトネスも大きく配慮しているのです。

日本では宗教の自由は憲法で保障されています。どんな宗教を信仰しようと、人に迷惑をかけない限り批判することは誰にもできません。そのため特定の宗教を信仰している人を傷つけないようにしましょう。

ポリティカル・コレクトネスとヘイトスピーチの関係

ポリティカル・コレクトネスとヘイトスピーチの関係

ポリティカル・コレクトネスと大きく関係しているのがヘイトスピーチです。日本でも問題視されており、過激な方が特定の人種に対して行っている場面が多く見られます。

ヘイトスピーチは表現の自由において許容されています。即座に禁止されるわけではないのです。しかし行きすぎた発言は立法によって制限される可能性があります。

企業にとってヘイトスピーチは大きな問題ともなるため、普段の言動には注意しなければなりません。

ポリティカル・コレクトネスが抱える問題

ポリティカル・コレクトネスが抱える問題

ポリティカル・コレクトネスは今後主流になるであろう思想ですが、同時に多くの問題を抱えています。特に以下の点は現在進行形で続いている問題として覚えておきましょう。

  • 言葉狩りが多発している
  • 社会的な息苦しさがある
  • ネットスラングが登場している
  • ポリコレ疲れが出始めている

言葉狩りが多発している

ポリティカル・コレクトネスの抱える問題の1つに、言葉狩りが多発している点が挙げられます。言葉に過剰反応しすぎるあまり、言葉狩りになってしまうケースです。

例えば誰もが知っているクリスマス。キリスト教の祝祭であることから、キリスト教以外の人が不満を感じないように言い換えるケースが出始めています。

社会的・文化的差別をなくそうとする余り、他の文化や宗教に関して言葉狩りが行われてしまっているのです。

社会的な息苦しさがる

ポリティカル・コレクトネスによって社会的な息苦しさが生まれています。配慮に欠ける発言をしただけで炎上し、世間から叩かれるケースが増えてきているからです。報道によって一部を切り取られることで炎上するケースも枚挙に暇がありません。

何気ない発言ですら差別と判断される可能性があるため、何も言えないと感じてしまう人が少なからずいます。そのため行きすぎたポリティカル・コレクトネスは、社会的な息苦しさを生んでしまっています。

ネットスラングが登場している

ポリコレの問題:ネットスラングが登場している

ポリティカル・コレクトネスの流行によってネットスラングが登場しています。それがポリコレ棒。ポリティカル・コレクトネスという思想を掲げて他人を叩きまくることから来ています。

価値観は人によって様々です。ネットスラングからもわかるように、ポリティカル・コレクトネスを武器にする人が増えている現実があります。行きすぎた思想に反感を覚えている人がいることは、覚えておいた方が良いでしょう。

ポリコレ疲れが出始めている

世界ではポリコレ疲れが既に出始めています。アメリカではちょっとした発言がすぐにポリティカル・コレクトネスへ結びつけられてしまうため、気をつける点が多すぎるからです。近年、ポリティカル・コレクトネスへの行きすぎた配慮から、問題視されている映像作品も増えてきています。

日本ではまだそれほど浸透していはいませんが、世界的にはポリコレ疲れが出ているのが実状です。程々のバランスを保つようにしましょう。

ポリティカル・コレクトネスへの対策を企業が取るべき理由

ポリティカル・コレクトネスへの対策を企業が取るべき理由

ポリティカル・コレクトネスは世界で主流になりつつある考え方です。それはもちろん企業にも当てはまります。近年、ポリティカル・コレクトネスへの対策が推奨されている理由は、以下の4つから来ています。

  • 社外広報で有利になる
  • ダイバーシティ経営に必要不可欠
  • 雇用の拡大に期待できる
  • ハラスメントの抑制に繋がる

社外広報で有利になる

ポリティカル・コレクトネス対策をすることで社外広報で有利になります。特に広報PR担当が意識することで、企業内外に大きな影響を与えられるでしょう。近年話題になった任天堂の取り組みはその最たるものです。

現代社会においてポリティカル・コレクトネスは主流の考え方となっています。企業が意識している姿を見せることで、対外的に良い印象を与えられます。

企業の取り組みとして発信することで、社外広報で有利になるのです。

ダイバーシティ経営に必要不可欠

ダイバーシティ経営にはポリティカル・コレクトネス対策が必要不可欠です。多様性を重視する経営において必須の考え方だからです。

そもそもダイバーシティとは多様化の意味を持っています。少子高齢化が進む日本にとって、労働力の確保は急務です。その中で高齢者や外国人の雇用はますます加速するでしょう。

そのための考え方として、ポリティカル・コレクトネス対策は大きな意味を持ちます。

雇用の拡大に期待できる

ポリコレ対策のメリット:雇用の拡大に期待できる

雇用においてもポリティカル・コレクトネス対策は重要な役割を果たしてくれます。特に以下の点で大きな影響を与えてくれるでしょう。

  • 年齢・性別で判断しない
  • 出身地・思想・信条で差別しない
  • 性差別的な服装指定をしない
  • 障がい者を理由に差別をしない

これらを雇用時に明言することで、ポリティカル・コレクトネスを意識した公正な採用活動ができていると判断されます。もし守っていない場合は、行政から注意を受ける可能性も。

応募する側も企業がポリティカル・コレクトネス対策をしているかどうかで安心してくれます。雇用拡大において大きな意味を持っているのです。

ハラスメントの抑制に繋がる

ポリティカル・コレクトネス対策をすることで各種ハラスメントの抑止に繋がります。企業全体で取り組むことで意識が変わり、必然的にハラスメントをしないようになるからです。特にハラスメントの代表格であるセクハラ・パワハラについて効果を発揮します。

一方であまりにもポリティカル・コレクトネス対策としてハラスメントを意識すると、何も言えなくなってしまいます。コミュニケーション不足に陥ってしまう可能性もあるため、注意しましょう。

ポリティカル・コレクトネス対策はこれからの社会に必須の考え方

ポリティカル・コレクトネス対策はこれからの社会に必須の考え方

ポリティカル・コレクトネスは世界的に主流となりつつある考え方です。代表的なものとしては人種表現・職業名称の変更が挙げられます。身近なところでもポリティカル・コレクトネス対策で変更されたものが多くあることに気付くでしょう。

思想は素晴らしいものですが、ポリティカル・コレクトネスを強調するあまり、問題点が浮き彫りになりつつあります。しかし企業がポリティカル・コレクトネス対策をすることは推奨されています。

特に今後ダイバーシティ経営が加速していくと予測される中で、その対策は急務です。ポリティカル・コレクトネス対策をすることによって多くのメリットを得られます。打てる対策をしっかり打って、働きやすい環境を作っていきましょう。