アドフラウドの意味とは?広告詐欺や不正広告の仕組みや手法を解説
アドフラウドは不正広告などによる広告詐欺の手法です。
この記事では、アドフラウドの仕組みや手法について事例を交えながら解説していきます。
アドフラウドの仕組みを正しく理解して、正しい広告運用に繋げていきましょう。
<この記事で分かること>
アドフラウドとはどういう意味?
アドフラウドの問題点とは?
どんな手口でアドフラウドによる広告詐欺が起こる?
アドフラウドの対策ツールを知りたい!
アドフラウドとは不正広告のこと
アドフラウドは不正広告や広告詐欺を総称した考え方です。
アドフラウドでは広告の成果を測るインプレッション数などを意図的に改ざんすることで広告費を不正に騙し取ります。
広告主は広告掲載について正しい成果を得られないばかりでなく、ブランドイメージの低下にも繋がってしまうという問題があります。
アドフラウドとは何か?
アドフラウドとは広告費を搾取することを目的とした広告詐欺の手法を総称したものです。
一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)の定義によるとアドフラウドには国内外の悪徳事業者が関わっています。
アドフラウドを排除することで悪徳事業者へ広告費の流出を防ぐことがインターネット広告業界全体の課題とされています。
「ad」は広告、「fraud」は詐欺がアドフラウドの語源です。
近年、広告費を欺瞞的に詐取することを目的とした不正なサイトやページが存在することが明らかになりつつあります。その運営主体として、小遣い稼ぎ目的の一個人から、反社会的勢力との関連が疑われるような国内外の悪質事業者まで、様々なプレイヤーの介在が疑われています。
引用:アドフラウドに対するJIAAステートメント|一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会
私たちは、このような不正な広告費詐取の手法を「アドフラウド」と定め、アドフラウドのインターネット広告業界からの排除を進めることで、不正な個人や悪質な事業者への広告費の流出を防ぎ、市場の健全性を維持することが重要だと認識しました。
インターネット広告の仕組み
一般的に、インターネット広告ではインプレッション数などの成果に応じて広告料が決まります。
インプレッション数とは広告が表示された回数のことです。
広告主は広告を掲載したメディアに対してインプレッション数に応じて広告費を支払います。
しかし、アドフラウドによって不正にインプレッション数などを改ざんすると正しい広告の成果を得られなくなります。
アドフラウドによってインターネット広告の仕組みが成り立たなくなってしまうのです。
<インターネット広告の仕組みに関する用語>
インプレッション数:広告が表示された回数
クリック数:広告がクリックされた回数
コンバージョン数:広告を見た人が実際に商品やサービスを購入・資料請求などのアクションを起こした回数
アドフラウドの問題点とは?
アドフラウドの問題点はどこにあるでしょうか?
アドフラウドを仕掛ける悪徳事業者の目的は広告費を搾取することです。
広告掲載者はアドフラウドによって期待した成果が出ていないにも関わらず、広告費を支払うという問題点があります。
アドフラウドはブランドイメージを損なうという悪影響もあるため、企業の信用を低下することにも繋がってしまうのです。
広告主が期待した成果が出ない
アドフラウド最大の問題点は広告主が期待した広告の成果が出ないことです。
アドフラウドによる不正広告ではインプレッション数が不正に水増しされてしまいます。
そのため、見かけ上は成果が出ているにも関わらず広告の効果としては実態のないものになってしまうのです。
広告費が無駄になる
アドフラウドでは見かけ上は成果が出ているという数字が出ているため、広告費を支払わなければなりません。
そのため、成果が出ていないにも関わらず広告費は発生します。
アドフラウドを行う不正業者に広告費が無駄に流出するという仕組みになってしまうのです。
ブランドイメージの低下とブランドセーフティ
アドフラウドは広告として中身が無いにも関わらず、ブランドイメージの低下にも繋がってしまいます。
例えば、違法サイトに自社の広告が掲出されてしまうとユーザーに「違法サイトに関係している」という印象を持たれてしまうでしょう。
ブランドセーフティにおいては違法サイトなど悪い印象を与える恐れのあるページへの掲載から広告を掲載しないことでブランドイメージを守ります。
広告を出稿する際は、どういったメディアに掲載されているかといったこともチェックする必要があります。
アドフラウドとビューアビリティ
ビューアビリティ(Viewability)とは広告が本当に見られているのか、という考え方です。
例えば、ページの下部に表示される広告は実際には読み飛ばされて見られません。
この場合にはビューアビリティの観点では広告は見られないにも関わらず、広告としては表示されるので広告費は発生してしまいます。
ビューアビリティを意識した広告では広告が適切に表示される位置に掲載することが求められます。
ビューアビリティをしっかりしていれば、アドフラウドの問題について改善が期待されるでしょう。
アドフラウドの仕組みと手法の例
アドフラウドでは広告プログラムを悪用することで本来の意図とは異なる広告を掲載します。
例えば、ボット(bot)などの自動プログラムで不正にインプレッションを増やしたり広告クリック数を増やすことがアドフラウドの例として挙げられます。
ここでは、アドフラウドの仕組みやアドフラウドの手法について、事例を挙げながら確認していきましょう。
アドフラウドの仕組みとお金の流れ
アドフラウドではプログラムを利用した多様な仕組みで広告を不正に表示します。
不正に表示された広告は中身が乏しいにも関わらず、広告としての成果を果たしてしまうものです。
悪徳業者はアドフラウドによって不正に稼いだインプレッション数などで広告費を騙し取ります。
おとりサイトへの誘導
アドフラウドで一般的な仕組みはおとりサイトへ誘導することです。
おとりサイトは広告の表示回数を増やすことを目的としたサイトです。
検索エンジンでは普通のサイトに見えるものの、中身としては実態が無い広告を表示するだけのサイトとなっています。
不正業者へお金が流れる仕組み
不正業者はアドフラウドによって不正に広告費用を得ることが目的です。
一般的な手口はアドフラウドによって広告表示回数やクリック率などのインプレッション数を水増しして広告主から広告費用を搾取することです。
他にも、アフィリエイトサイトなどでアクセス数やクリック数などを水増しして報酬を騙し取るといった手法が挙げられます。
不正業者が不正に広告費用などを搾取する一方で、広告本来の意味を損ねてしまうため広告業界にとっては大きな損失となってしまいます。
アドフラウドで使われる手法
アドフラウドではあらゆる手法を使って広告のインプレッション数などを改ざんします。
代表的な手法は以下の通り。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
- ボット
- クリック洪水
- 過度な自動リロード
- 過度な広告領域
- 個人端末の乗っ取り(ハッキング)
ボット
アドフラウドで使われる手法として一般的なのがボット(bot)です。
ボットは一定の処理を自動的にこなすプログラムのこと。
アドフラウドではインプレッション数や広告のクリック回数を増やすためにボットが使われます。
意図的に広告費の成果といえる指標を増やすことで広告費を発生させるといった使われ方をします。
クリック洪水
クリック洪水とは実際にはクリックがないにも関わらずクリックがあったように偽装する行為です。
クリック洪水はボットで行われるほか、複数端末で意図的に行われるなどの手法があります。
過度な自動リロード
アドフラウドの中には過度な自動リロードを行って広告の表示回数を増やします。
実際は表示回数は1回だけにも関わらず、自動リロードによって何度もカウントされるのです。
自動リロードはサーバーへのアクセス過多にも繋がる恐れがあります。
過度な広告領域
広告が多く貼り付けられたおとりサイトに誘導して広告を表示させることです。
検索エンジン上では普通のサイトに見えますが、実際には過度な広告領域だらけのサイトとなります。
個人端末の乗っ取り(ハッキング)
アドフラウドの中でも特に悪質なのがハッキングによるものです。
ユーザーの端末をハッキングして広告の表示回数やクリック数を増やします。
例えば、ユーザーがアプリをインストールする際にマルウェアに感染させて誤ったインプレッション数をカウントするという手法です。
アドフラウドの原因とサイクル
アドフラウドは何故引き起こるのでしょうか?
不正業者に悪意があることはもちろんですが、広告主にとっても広告を出稿するメディアを選定する必要があります。
低品質なメディアに広告を掲載するとアドフラウドの危険性も増してしまうのです。
広告媒体の質より量を重視している
アドフラウドが引き起こる本質的な原因は広告媒体の質を軽視していることにあるといえます。
インプレッションを重視することに意識が向いてしまうと、質の低いメディアが中心となってしまいます。
質の低いメディアではアドフラウドが発生してしまうことが多いため、結果として意味のない広告が増えてしまうのです。
アドフラウドが発生したとしても、見た目上のインプレッション数は成果が出ていることも問題です。
質よりも量を意識する状態だと広告の成果としては評価されてしまうため、負のサイクルが続いてしまいます。
不正業者によるクリックスパム
低品質のメディアは広告料が安い一方でアドフラウドが引き起こる可能性が高いです。
不正業者によるクリックスパムにも注意する必要があります。
クリックスパムとは不正業者によってユーザーのクリックを不正実行することです。
クリックスパムは誤った広告成果を生んでしまう悪質なアドフラウドです。
低品質のメディアに掲載することで、クリックスパムに繋がってしまうことがあります。
KPIを正しく設定する
アドフラウドを防ぐためには、KPIを正しく設定しましょう。
KPI(Key Performance Indicator)とは重要業績評価指標と訳されるマーケティング用語です。
設定した目標を評価するために用いられる数値がKPIとなります。
例えば、単にインプレッション数をKPIに設定してしまうとどうなるでしょうか?
アドフラウドによる不正なインプレッション数によって正しい広告の効果を測れなくなってしまうでしょう。
量より質を重視したKPIの設定
アドフラウドを防ぐためには、量より質を重視したKPIの設定が有効です。
インプレッション数やクリック数よりも、実際に購入のアクションを起こしたコンバージョン数を重視するなど内容を評価するKPIを設定することが効果的といえます。
アドフラウドの対策ツール2選
実際にアドフラウドを対策するためにはどのような手段が有効でしょうか?
ここでは、代表的なアドフラウドの対策ツール2選について紹介していきます。
Spider AF
「Spider AF」はアドフラウドを検知して広告費を削減するツールです。
広告に潜むアドフラウドを検知・排除することで広告最適化をサポート。
不正広告や不正アクセスを見抜き、広告によるブランドバリューを保護します。
公式サイト:Spider AF
Integral Ad Science
「Integral Ad Science」は最適なブランドセーフかつビューアビリティを確保するためのツールです。
ブランドセーフティ機能によって悪質なアドフラウドから企業ブランドの信用を守ります。
公式サイト:Integral Ad Science
アドフラウドの正しい知識を身に着けよう!
アドフラウドを放置していると広告費がかさむほか、企業ブランドの信用が低下してしまう恐れがあります。
不正業者によるアドフラウドではボットやハッキングなど、あらゆる手法を使って広告費を騙し取ろうとします。
アドフラウドに遭わないためには専用の対策ツールを駆使しながら適切な広告運用をしなければなりません。
企業のブランドを脅かすアドフラウドについて正しい知識を身に着け、適切な対策をとりましょう!