JICDAQとは?ブランドセーフティにおけるJICDAQの重要性

jicdaq ブランドセーフティ

ブランドセーフティの取り組みについて理解していますか?

この記事では「JICDAQ」について解説していきます。

結論、企業はJICDAQの認証を受けるべきです。

今後のインターネットにおいてJICDAQの認証は大きく影響してくるでしょう。

その他にも「ブランドセーフティが求められる理由」や「ブランドセーフティの例」についても解説するので、ぜひ自社の取り組み強化につなげてください。

また「アドフラウド」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。

ブランドセーフティとは

ブランドセーフティとは

ブランドセーフティとは、不適切なサイトやコンテンツに広告が表示され、ブランドの価値が毀損されるリスクから、安全性を確保するための取り組みです。

ブラウザの表示内容を確認して、広告配信をコントロールする「アドベリフィケーション」の検証要素の1つでもあります。

2017年に、世界第6位の広告代理店がYouTube広告から撤退したのを口火に、企業が果たす責任の1つとして、ブランドセーフティを強化する声が高まりました。
安全に広告を掲載するために、現在注目されている取り組みがブランドセーフティです。

ブランドセーフティが求められる理由

ブランドセーフティが求められる理由

ブランドセーフティは広告を出す広告主や掲載先のメディア、また広告を見るユーザーにとって大切な役割を果たします。
ブランドセーフティがなぜ必要なのか、わかりやすくまとめるとポイントは以下の3つです。

  • 広告主のブランド毀損につながらないため
  • 企業メディアのブランド毀損につながらないため
  • ユーザーに嫌われないため

それぞれ詳しく解説するのでチェックしてみてください。

広告主のブランド毀損につながらないため

1つ目のポイントは、掲載するメディアが安全でないと、広告主のブランド価値が毀損される可能性があるという点です。

商品やサービスの認知・購入を目的に広告を出した際、悪い印象を持たれてしまうメディアやページに載せられてしまう場合があります。
そうなると、商品やサービスの質自体が良かったとしても、広告を見たユーザーに悪い印象を持たれかねません。

広告を出す意味がなくなってしまうので、広告掲載面が安全かどうかは重要なポイントです。

企業メディアのブランド毀損につながらないため

企業メディアのブランド毀損につながらないため

広告主にとって安全な広告掲載メディアが不可欠なように、広告掲載メディアも、広告自体が安全でないと、ブランド毀損につながってしまいます。

広告が安全でなかったり、悪い印象を与えたりしてしまうものだと、ユーザーはメディア自体に悪い印象を持ちかねません。

メディアの印象が悪くなれば、見るユーザーが減ってしまいます。

広告で収益を出しているメディアにとっては死活問題に発展するため、掲載広告の管理はしっかり行われなければなりません。

ユーザーに嫌われないため

広告や掲載メディアの安全性のほかに、同一ユーザーに対して、広告表示回数が適切であるかどうかも大きなポイントになります。
何度も同じ広告を見せられて、好ましく感じていたブランドや、とくに気にしていなかったブランドを嫌いになった経験がある方は多いでしょう。

表示頻度が高すぎる広告はユーザーに嫌われる宣伝活動になってしまい、広告主にとっても広告費の無駄になりかねません。

同一ユーザーへの広告表示回数の適正化は、広告費を無駄にしないため、また、ユーザーに嫌われないために必要な対策です。

ブランドセーフティの例

ブランドセーフティの例

ブランドセーフティは昨今の広告業界では重要視されています。
インターネットやスマートフォンの普及にともない、広告がより身近になり、接する頻度が高まったのも1つの要因でしょう。

ブランド毀損の問題を解決するため、ブランドセーフティやアドベリフィケーションは、海外を発端に展開されてきました。

実際にどのような取り組みがなされてきたのか、海外や国内での事例や、注目を集めたイギリスでのYouTube出稿停止の事例を紹介します。

P&G

P&Gの最高ブランド責任者であるマーク・プリチャード氏は、2017年にインタラクティブ広告業界団体IABのカンファレンスで、広告価値毀損に関する呼びかけを行いました。
「広告主はインターネット広告の不正問題について見識を深め、それを正していく意識を持つことが大切だ」と話しています。

この呼びかけをきっかけに、世界の広告業界は、アドベリフィケーション(アドフラウドやブランドセーフティなど)を認知・意識するようになりました。

イギリスでYoutube出稿停止

イギリスでYoutube出稿停止

2017年にはイギリスでYouTubeに出稿する広告主や広告代理店が、早急な対応を迫られる事態が起こりました。
2017年の3月にイギリスの新聞「The Times」で「YouTubeに公開中の過激主義者の動画に大手企業の広告が配信」と報じられたためです。

報道を受けて、フランスに本社がある広告代理店のハバスは、イギリスでのYoutubeへの出稿を全面的に停止します。
さらに、ナショナルクライアントが複数社、出稿停止を次々と決断していきました。

Times紙の報道をきっかけに、広告業界はブランドセーフティの重要性を考えさせられるようになります。

資生堂

日本の大手美容ブランドの資生堂は「確実に安全なサイトにしか出稿しない」と明言しました。

2018年には、ブランドセーフティツールやホワイトリストの活用を、全社的に開始しています。
また、デジタル広告の出向先サイトの安全性の確認を行って、サイトの整理なども行っているようです。

国内では独自にブランドセーフティに取り組んでいる企業のほか、JICDAQのようなデジタル広告品質認証機構を利用して、ブランドセーフティに取り組む企業もあります。

JICDAQとは

出典:JICDAQ | 一般社団法人 デジタル広告品質認証機構

「JICDAQ」とは、インターネット広告市場の健全性の維持を目的として、仕組みと環境を整えるために設立されたデジタル広告の品質認証機構です。

以下の広告関係の3団体によって設立されました。

団体名略称
公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会JAA
一般社団法人 日本広告業協会JAAA
一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会JIAA

品質確保に努力している広告会社などの事業者に認証を付与しての社名公開、また、理念に賛同する広告主や事業者の社名を公開し、広告の品質向上を目指しています。

アドフラウドやブランドセーフティなど問題解決のために、独自の認証基準を設けている組織です。

JICDAQの適用事業者

JICDAQのブランドセーフティ認証基準は、以下に紹介する各事業領域および、その代表的な事業を営む、JICDAQのブランドセーフティ認証を取得する事業者に適用されます。

広告購入者・広告会社・広告主
広告取引仲介業者・DSP事業者・SSP事業者・アドネットワーク事業者・アドエクスチェンジ事業者
広告販売事業者・媒体事業者
広告配信/計測事業者

認証基準におけるブランドセーフティの定義は「広告掲載先の品質確保による広告主ブランドの安全性」です。

広告掲載不適切コンテンツカテゴリ

広告掲載不適切コンテンツカテゴリ

認証事業者は広告掲載先の品質を確保するために、違法なサイトなどへの広告掲載を排除しなければなりません。
そのためにJICDAQでは、基準として以下のような「広告掲載不適切コンテンツカテゴリ」を定めています。

・自殺/殺人/幇助/教唆・売春/児童ポルノ・武器/銃刀の売買・詐欺/悪質商法・プライバシーの侵害・ヘイトスピーチ・誹謗中傷/名誉毀損・海賊版サイト・偽ブランド品/模造品/偽造品・リーチサイト・覚醒剤および危険ドラッグの販売/肯定

リーチサイトとは、違法コンテンツに利用者を誘導するためのリンクを集めて掲載しているサイトです。

認定事業者はこれらの基準に基づき、広告掲載先の品質を確保していきます。

ブランド毀損リスクコンテンツカテゴリ

JICDAQは「ブランド毀損リスクコンテンツカテゴリ」についても定めており、該当サイトへの広告掲載によるブランド毀損の可能性への理解を促しています。

認定事業者は、広告主および認定事業者間でしっかり協議を行い、必要に応じて、これらのサイトなどへの広告掲載を排除しなければなりません。

  • 違法/脱法行為に関する情報
  • アダルトグッズ販売、露骨な性表現、過剰な肌露出、芸術的なヌード
  • 暴力的な表現、醜悪/グロテスク、映画/ゲームなどの暴力表現 
  • 投機心を著しく煽る表現、非科学的/迷信な情報によって不安を与える表現
  • ハラスメントを助長する表現
  • 薬物に関する情報
  • 「広告掲載不適切コンテンツカテゴリ」にあたるものに関する研究、論説、教育、啓発またはニュース
  • 虚偽の情報により社会的混乱を生じさせるもの
  • その他、ブランドへの広告主の考え方によってはリスクとなりうるもの

(参考元 : JICDAQ ブランドセーフティ認証基準)

コンテンツカテゴリは、社会情勢や市場環境の変化にともない、必要に応じて見直しを行います。

JICDAQの認証分野

JICDAQの認証分野

JICDAQの認証は2分野で「ブランドセーフティ」と「無効トラフィック対策」の認証があります。

ブランドセーフティは広告掲載において、安全性を確保するための取り組みです。

無効トラフィックとは、収益を作為的に増加させる可能性があるクリックやインプレッションを指します。
意図的な不正トラフィックや偶発的クリックが含まれるため、無効トラフィック対策も、安全な広告掲載のための重要な取り組みの1つです。

それぞれ詳しく解説していくので参考にしてください。

ブランドセーフティ

JICDAQのブランドセーフティの認証事業者は、広告掲載先に紛れ込む違法サイトや不当サイトへの広告費の流出を防ぎます。
そのほか、広告掲載不適切カテゴリコンテンツの排除や、各事業者の役割に応じて、さまざまな対策を講じなければなりません。

JICDAQが「ブランドセーフティ認証基準」に定める、各事業者による対策項目は以下の通りです。

  1. ポリシーの整備・説明・通知
  2. 取引先に対する審査
  3. 内部プロセスなどの整備
  4. 技術的な対策の導入および取引先に対する対策状況の確認
  5. 規制当局や関係機関、民間団体などから提供される情報の利用および利用状況の確認
  6. 第三者の機能の利用と補完の選択
  7. 取引先が広告掲載先の状況を把握したい場合の合理的な協力

より具体的な対策の詳細は「認証事業者によるブランドセーフティ対策」として定められています。

公式ホームページの「各種資料」の「認証基準」から、詳細が掲載されている「ブランドセーフティ認証基準」にアクセスできるので、チェックしてみてください。

無効トラフィック対策

JICDAQでは、第三者機関の検証から確認を経て「無効トラフィックの排除」の認証を取得可能です。

事業者は検証で、無効なトラフィックを検知・検出・除外できる対策を講じられているかがチェックされます。

「無効なトラフィック」の例をいくつか紹介するので参考にしてください。

一般的な無効トラフィック・検索エンジンのクローラー
・既知なデータセンターIP
悪意のある無効なトラフィッ・自動リロード(ボット)
・隠し広告
・なりすまし
・報酬型クリック

各事業者は広告トラフィックの品質を確保するため「無効トラフィック対策認証基準」に基づいて、対策に取り組みます。

JICDAQの検証種類

JICDAQの検証種類

JICDAQの認証基準で、設けられている検証の種類は以下の3つです。

  • 第三者検証種類
  • 自己宣言
  • 海外認証に基づく自己宣言

ブランドセーフティおよび無効トラフィックの排除の認証は、いずれかの検証を経て取得できます。

いずれの検証確認方法も有効期間は1年で、認証を継続したい場合は、再度検証を受けなければなりません。

それぞれ、どのような検証か解説していくので、参考にしてください。

第三者検証

「第三者検証」は第三者機関である「一般社団法人日本ABC協会」による、外部からの検証を受けます。

第三者が検証を行うため、業務品質が第三者に担保されているという点が大きな特徴です。

信頼性が高くなるため、第三者検証を取得していれば、品質意識の高い広告主からのオファーが期待できます。

メリットが大きいためか、認証事業者の中で、ブランドセーフティと無効トラフィック対策の2分野において、最も多く実施されている検証方法です。

自己宣言

自己宣言

「自己宣言」は検証過程を申請者が自ら行う検証確認方法です。

自己宣言は以下のような流れで検証を進めていきます。

  1. JICDAQが定めたチェック項目に基づいて申請者が検証を実施
  2. 作成した検証報告書を日本ABC協会が確認
  3. 提出した検証結果に問題がなければ認証取得

第三者検証に比べると、自己宣言で認証を取得している事業者は少ないです。
しかし、民放テレビ局やメディア会社など、自己宣言で認証されている事業者もいくつかあります。

海外認証に基づく⾃⼰宣⾔

3つの検証種類の中で比較的認証を受けやすいのが、海外認証に基づく自己宣言です。

認証機関はアメリカの「 TAG(Trustworthly Accountability Group)」を代表に、海外にも存在します。

海外の団体から認証を受けている日本法人の事業者であれば「自己宣言」と同じ方法で認証の取得が可能です。

主に海外を母体としている事業者が取得している傾向にあります。
代表的な認証事業者は、FaceBookジャパン(株)やTwitterジャパン(株)です。

インターネット事業者はJIQDAQ認証を早い段階で

インターネット事業者はJIQDAQ認証を早い段階で

JIQDACは、インターネット事業者であれば、必ず認証を受けておくべきです。

今後JIQDAQ認証を受けていない事業者は、事業を拡大していけなくなるでしょう。

企業からはもちろん、ユーザーからも安心してもらうために、JICDAQのような認証が必要になるのです。

ぜひ今回の記事を機に、インターネット事業者は、JICDAQやブランドセーフティについて理解を深めておきましょう。