インナーブランディングとは?企業の成功事例から目的と手法を学ぶ

インナーブランディングは企業理念を社内に浸透させる施策です。
この記事では、インナーブランディングの目的や手法・メリットを成功事例とともに紹介。
事例を通じてインナーブランディングの手法や進め方について確認していきましょう。
<この記事で分かること>
・インナーブランディング(インターナルブランディング)とはどういう意味?
・インナーブランディングのメリットとデメリットは?
・インナーブランディングにはどういう方法がある?
・企業のインナーブランディングを成功させた事例にはどんなものがある?
インナーブランディングは社内向けのブランディング施策

インナーブランディングは社内向けのブランディング活動です。
社内の結束を高め、企業理念を共有することで活発な企業活動を実現できます。
インナーブランディングの定義や手法について、詳しく見ていきましょう。
インナーブランディング(インターナルブランディング)とは?
インナーブランディングあるいはインターナルブランディングは社内向けのブランディング施策です。
企業理念や企業のブランド価値を社内に共有して啓蒙しつづけることで、社内の結束を高められます。
インナーブランディングをすることによって、企業の根本的な考え方である企業理念を共有し、企業が目指すべき方向性を一致させます。
企業が個ではなく、組織として動くことで組織力および競争力を高めていくことがインナーブランディングの主な狙いです。
<インナーブランディングとは?>
企業理念や企業のブランド価値を社内に共有し、啓蒙し続けること
インナーブランディングの手法
インナーブランディングは具体的にどのような方法で行われるでしょうか?
企業理念の周知には研修やSNSなど、従業員が企業の在り方について考える機会を設けることが必要です。
研修
インナーブランディングでは研修を通じて企業理念を周知できます。
研修においてはケーススタディーなどにより、どのような行動をとるべきかを再認識します。
具体的な行動規準を意識することで、企業理念の実現が可能です。
SNS・社内報
SNSや社内報は企業理念を周知させることに役立ちます。
優れた企業理念も、日々の仕事に忙殺されてしまうことが少なくありません。
日ごろから目につくかたちで周知することによって、企業理念を再認識できるのです。
エクスターナルブランディング(アウターブランディング)との違い
インナーブランディングの対になる考え方としてアウターブランディング(エクスターナルブランディング)というものがあります。
アウターブランディングとは、社外向けのブランディング施策です。
一般的なブランディングでイメージするのがアウターブランディングではないでしょうか。
アウターブランディングは企業外部、すなわち顧客に対して行うブランド施策です。
社内の従業員を対象とするインナーブランディングに対し、アウターブランディングでは社外の顧客を対象にします。
アウターブランディングの内容は企業理念よりも、顧客(消費者)にとって企業がどんな価値を持つかというブランドバリューが重視されます。
アウターブランディングは販売戦略の一環であり、マーケティングと近い概念です。
– | 対象 | 目的 | 内容 |
---|---|---|---|
インナーブランディング (インターナルブランディング) | 社内 | 企業理念の共有 | 企業理念 |
アウターブランディング (エクスターナルブランディング) | 社外 | 販売戦略 | ブランドバリュー |
インナーブランディングの目的とメリット

インナーブランディングはどのような目的で行われるものでしょうか?
挙げられるメリットとして、以下があります。
- 企業理念の浸透
- 従業員モチベーションの向上
- 従業員の連携を強化
- 人材採用の効率化
インナーブランディングは企業内のブランド周知を促進し、モチベーションアップに繋がるものです。
また、人材採用についてもメリットがあります。
インナーブランディングの目的およびメリットについて詳しく見ていきましょう。
企業理念の浸透
インナーブランディングによって企業理念を浸透させられます。
企業理念とは、企業の根幹となる価値観や考え方です。
「なぜ企業が存在しているか?」「何のために事業をしているか?」という根本的な存在理由を示す、企業の核となる概念となります。
企業理念が社内に共有できていないと、目指すべき方向もバラバラになってしまいます。
企業理念を企業内に浸透させることによって、企業が目指すべき方向性を統一できるのです。
従業員モチベーションの向上
インナーブランディングによって従業員のモチベーションを向上できます。
組織として価値観を共有していることで仕事の目標が生まれるのです。
例えば、企業理念が各従業員に浸透していることで営業現場において製品やサービスのビジョンをしっかりと示せます。
従業員が企業のために働いているという意識も高められるため、モチベーションの向上に繋がるでしょう。
従業員の連携を強化
インナーブランディングには従業員の連携を強化する効果もあります。
企業理念は個人ではなく、組織や集団として動かなければ達成できないものです。
人材採用の効率化
インナーブランディングは人材採用活動の効率化にも繋がります。
企業理念を従業員に共有することで、統一された価値観を共有できます。
すなわち、価値観に共有できる人材を中心に採用できるのです。
離職率の低下
インナーブランディングは新入社員の採用だけでなく、既存社員の離職率低下にも繋がります。
従業員に仕事の目標を共有することでモチベーションが高まり、従業員満足度の向上が期待できるのです。
インナーブランディングは仕事のやりがいを従業員に与えるもので、働きがいにも繋がります。
インナーブランディングのデメリット・注意点

インナーブランディングは正しい方法で行わないと逆効果となってしまう恐れがあります。
以下は、インナーブランディングをする際の注意点です。
- 中長期的な視点が必要
- 価値観の押し付けになる恐れがある
企業内で価値観を統一するには反発が起こる場合もあります。
インナーブランディングの注意点及び対策について確認していきましょう。
中長期的な視点が必要
インナーブランディングを実現させるためには中長期的な視点が必要です。
企業理念という根本的な考えを浸透させるには相当の時間を要します。
計画を策定してすぐに実現できるというものではなく、根気強い対応が必要です。
インナーブランディングを実現させるためには時間が必要であるということを念頭に置きましょう。
価値観の押し付けになる恐れがある
企業理念を浸透させることは価値観の押し付けになる恐れがあります。
全ての従業員に同じ考えを共有してもらうことは難しく、場合によっては従業員の反発を招いてしまいかねません。
価値観を共有できない従業員はかえってモチベーションの低下を招いてしまい、最悪の場合は離職の原因になってしまいます。
インナーブランディングの計画を練る場合は、従業員の反発も予想したうえでの計画を策定しましょう。
インナーブランディングの事例

ここからは、国内大手企業で実際に行われているインナーブランディングの成功事例について紹介します。
インナーブランディングに成功した企業においては、行動規範となるルールを明確にしています。
また、研修を通じて従業員スタッフへの教育を徹底し、価値観の共有に成功しているのです。
スターバックスコーヒー
コーヒーチェーン大手のスターバックスはインナーブランディングに成功した企業として知られています。
スターバックスは従業員満足度を重視しており、従業員に行動指針を共有することで高品質のサービスを実現しています。
スターバックスの行動指針
スターバックスで公表されている「スターバックスコーヒーミッション宣言」によると、一流コーヒー専門会社としての原則を徹底し、具体的な行動指針が規定されています。
こういった行動指針を共有することで、従業員一同が共通の目標に向かって進めます。
また、一流コーヒー専門会社の一員として活躍できるモチベーションにも繋がっているのです。
スターバックスコーヒー ミッション宣言
引用:スターバックスコーヒー ミッション宣言|スターバックス
当社の原則を一貫して守りつつ事業を拡大し、
世界の最高級コーヒーの加工から小売まで一貫して扱う
一流コーヒー専門会社としてのスターバックスを築いていく。
【行動指針】
・お互いに尊敬と威厳をもって接し、働きやすい環境をつくる
・事業運営上での不可欠な要素として多様性を受け入れる
・コーヒーの調達や焙煎、新鮮なコーヒーの販売において、
・常に最高級のレベルを目指す
・顧客が心から満足するサービスを常に提供する
・地域社会や環境保護に積極的に貢献する
・将来の繁栄には利益性が不可欠であることを認識する
スターバックスの教育
スターバックスは年間で80時間、期間にして2か月間もの研修が行われています。
研修による教育に力を入れているのもスターバックスのインナーブランディング成功の理由になっているのです。
オリエンタルランド(東京ディズニーリゾート)
オリエンタルランドは東京ディズニーリゾートを経営する企業です。
オリエンタルランドでは「The Five Keys~5つの鍵~」という行動規準を設定しています。
行動規準は全キャストが最高のおもてなしを提供するためのよりどころとなっており、ディズニーリゾートというサービスにおける原点です。
こういった行動規準に立ち返り、ゲストに満足してもらうための最高のおもてなしを実現しています。
「最高のおもてなし」というサービスを実現させるために行動規準を設けることはインナーブランディングを成功させるために重要な要素といえるでしょう。
「The Five Keys~5つの鍵~」(Safety, Courtesy, Show, Efficiency, Inclusion)
Safety(安全):安全な場所
Courtesy(礼儀正しさ):“すべてのゲストがVIP”との理念に基いた心をこめたおもてなしをすること
Inclusion(インクルージョン):さまざまな考え方や多様な人たちを歓迎し、尊重すること。
Show(ショー):「毎日が初演」の気持ちを忘れず、ショーを演じること。
Efficiency(効率):安全、礼儀正しさ、ショーを心がけて効率を高めること。
(参考:行動規準「The Five Keys~5つの鍵~」|オリエンタルランド)
ANAの「ANA’s Way」

航空大手のANA(全日本空輸株式会社)は「ANA’s Way」というグループの行動指針を発表し、ANAグループ社員の心構えを設定しています。
社員一人ひとりの活動をANAグループにおけるブランド力の源泉と設定し、ANAグループの価値を創造します。
【ANA’s Wayとは?】
引用:ANAグループ行動指針「ANA’s Way」とは|ANA
「私たちは「あんしん、あったか、あかるく元気!」に、次のように行動します。」
1.安全 Safety
2.お客様視点 Customer Orientation
3.社会への責任 Social Responsibility
4.チームスピリット Team Spirit
5.努力と挑戦 Endeavor
ANA’s Day研修
ANAグループではANAグループの企業理念を再認識するため、「ANA’s Day」という研修を実施しています。
ANA’s Day研修では企業の経営基盤である「安全」についての考え方を周知。
研修では各個人の創造性や自立心を高めることで、組織を通じた信頼関係の構築をサポートしています。
ニチレイフーズ「ハミダス活動」

ニチレイフーズは冷凍食品をはじめとした加工食品を取り扱う会社です。
ニチレイフーズでは社内の士気を高めるために「ハミダス活動」という活動に取り組み、インナーブランディングを実現しています。
ハミダス活動とは、明るく元気で風通しの良い会社を目指す従業員の取り組みです。
自分の仕事を限定せず、今の立ち位置から一歩「ハミダス」ことで周囲との連携を高めるという狙いがあります。
ハミダス活動という行動指針を設定することで、従業員のモチベーションは向上。
従業員が互いに互いを思いやる環境作りに貢献しています。
従業員のハミダス気持ちをカタチにするニチレイフーズ独自の活動です。
引用:ハミダス活動|ニチレイフーズ
ミッション・ビションの実現を目的に、明るく、元気で、風通しの良い会社を目指す従業員向けの活動と、
ニチレイフーズの想いや冷凍食品の良さを社外に伝える生活者向けの活動を私たちは“ハミダス活動”と呼んでいます。
インナーブランディングで企業理念を共有しよう!

インナーブランディングの手法および成功事例について紹介しました。
インナーブランディングは企業理念を従業員スタッフに共有するものです。
企業理念という価値観を共有することで、仕事へのモチベーションアップに繋がります。
一方で、インナーブランディングは中長期的な時間がかかること、価値観の押し付けになってしまいかねないことに注意しなければなりません。
国内企業の成功事例では、企業理念を行動規準というかたちで明確にすることでインナーブランディングを成功させています。
インナーブランディングで企業理念を共有し、活発な企業活動を実現しましょう!