名誉毀損で刑事告訴する際はいくら?必要費用をご紹介

SNS上でのちょっとした発言で名誉毀損で訴えられることが報道が増えています。

この記事では「名誉毀損で訴える際の費用はいくらくらい?」と疑問を持った方へ事例を用いてご紹介。

お金がすぐに準備できずとも、刑事告訴できる方法も併せてご参考ください。

刑事告訴にはいくらかかる?

実際に訴えると決めた際の必要な経費として下記2種に分かれます。

  • 弁護士費用
  • 訴訟費用

弁護士費用

出典:フリービーAC

刑事告訴を行うにあたって、弁護士を雇う際に必要経費です。

下記のように分かれています。

相談料5,000円から10,000円程度 
着手金150,000から300,000程度 
報酬金相手から得た賠償金の15%から20%程度
日当1日50,000円から100,000円程度
タイムチャージ一日10,000円程度

この他にも、手数料、コピー代、交通費など追加されるケースもあります。

確実なのは、相談した際に見積書を作成していただくのがいいでしょう。

相談料

被害を受けて、弁護士に相談を行う際の費用です。5千円から1万円が相場です。

法律事務所によっては、「初回無料相談」や「30分無料相談」など初回は金銭が発生しない場合もあります。

また「初回30分無料」などの場合、時間を過ぎると弁護士よりお知らせされますので、あとから請求なんてことはないのでご心配なく。

着手金

弁護士が依頼を受けて、業務に着手する際に支払います。

依頼をうけて、金額が発生していますので、失敗となろうが発生するのでお気をつけください。

また、扱う種類や利益が高額になりそうな案件は相場と比較して高額になるケースもあります。

報酬金

報酬金は、案件が成功した暁に弁護士に支払う費用。

一部成功の場合にも含まれるケースがありますので弁護士とすり合わせを行っておきましょう。

完全敗北の際は、支払う必要がありません。

日当手当

弁護士が事務所から事件を処理するために稼働する費用。

出廷日当(裁判所に出廷する費用)と出張日当(出張する際に支払う費用)などが含まれていくケースが多いです。

遠方に向かう必要があれば、日当とは別に交通費、宿泊費が発生するケースもあります。

タイムチャージ

裁判に必要な書類作成、調査業務にかかる時間によってかかる費用です。

その他

実際に裁判までに必要な経費として「実費」が追加で請求されます。

意外に金額が発生しますので、弁護士と確認しておくことをおすすめします。

訴訟費用

訴訟費用とは、実際に訴訟手続きで必要になった証人、国選弁護士などの必要経費を示します。

裁判で勝訴になれば支払う必要はありません。

しかし、敗訴になった際には一部または全額原告側が支払わなければなりません。

訴訟の金額によって、下記参考にしてみてください。

出典:エール少額短期保険

実際にかかった費用は請求できる?

結論、難しいです。

相手が行ってきたことに対して、裁判を行って勝訴したのだからその費用を負担してほしい。わかります。

実際にその方法は司法制度ないでもたびたび議論されてきました。

「勝訴しても弁護士報酬を相手方から回収できないため訴訟を回避せざるを得なかった当事者にも、その負担の公平化を図って訴訟を利用しやすくする見地から、一定の要件の下に弁護士報酬の一部を訴訟に必要な費用と認めて敗訴者に負担させることができる制度を導入すべきである」

司法制度改革審議会意見書

つまり、もし自分が裁判を起こして

  • 勝訴→問題ない。
  • 敗訴の場合→被告分の裁判費用も負担しないといけない。

かえって、敗訴の場合を恐れて訴訟に足踏みをしてしまうケースが起きてしまうんです。

しかし、相手の不法行為によって裁判を起こした際は弁護士費用が負担してもらえる例外があります。

訴訟を起こす前に、可能か一度弁護士へ確認してみましょう。

実際に刑事告訴で受け取る慰謝料は?

出典:弁護士費用保険の教科書

名誉毀損で訴えた際の慰謝料は、相場で10万円から50万円程度言われています。

企業や個人事業主などの場合は50万円から100万円程度と言われています。

しかし、実際の状況や内容によって、慰謝料が大きく変わっているので事例をご紹介します。

SNSでの個人情報流出される

Woman using social media microblogging app on her smart phone

SNSのアカウントを乗っ取られて、住所、家の写真などの個人情報を無許可で掲示板に拡散される事件が起こりました。

個人情報は半年にわたり投稿、計画的な犯行で知り合いのストーカーではないかとされていました。

実際は、被害者の友人アカウントを乗っ取り、被害者の鍵付きアカウントに入り流出させていました。

その後、原告が情報開示請求を行い犯人特定し刑事告訴に至ります。

  • 慰謝料や開示請求費用を含む損害賠償請求150万円
  • その後、略式提訴され20万円を命じられる。
  • 裁判で発生した弁護士費用等は原告負担が命じられる。

この方は被害届を出そうとして、自身最寄りの警察署、原告の最寄り警察署と向かいましたが、不十分として断られています。

このような苦労をしないように問題解決のプロである弁護士を立てることが必要と痛感しますね。

出典:弁護士ドットコムニュース

虚偽の記事を記載

出典:イラストAC

とある町の市長に対して、「公共事業の入札で有利な落札を指示しているのでは」「黒いつながりがあるのでは」と週刊誌で報道。

記事にたいして、事実無根として慰謝料1000万円、弁護士費用100万円の訴訟を起こしました。

裁判所は事実無根であると認めて、出版社へ

  • 慰謝料100万円
  • 弁護士費用10万円の

の支払いを求めました。

Twitterの投稿で炎上

大学教授で精神科医がTwitter で「病院が民間団体の拉致監禁に手を貸した」「精神科指定医が片棒を担いだ犯罪」と投稿。

病院側は事実無根、精神的苦痛を味あわされたと名誉毀損で300万円の損害賠償請求を求める形になりました。

裁判の結果として、

  • 慰謝料100万円

の支払を命じられました。

当初、裁判では20万円の支払いを予定でした。

被害者が投稿した7件すべてのツイートにて侮辱的な言葉が使われており、7つすべて名誉毀損となり金額が増額しました。

コロナウイルス感染について噂を広められる

とある会社社長がコロナウイルスに感染してしまいました。

SNSで「彼はほかの女と旅行していた」「被害者ではなく加害者」と投稿されてしまい、会社に苦情や誹謗の連絡が鳴りやまなくなってしまいました。

業務に支障がでているため、名誉毀損として330万円の損害賠償請求を行いました。

  • 20万円の略式提訴

の支払いとなりました。

夫婦間トラブル

とある夫婦の間でも名誉毀損の問題が起きてしまいました。

夫の浮気で離婚となりましたが、離婚後夫のプライベートをSNSや掲示板に投稿を発見し、夫の取引先や家族にばれていきました。

夫は、情報開示を行い元妻の友人が記載していたことが発覚し、妻、友人二人に損害賠償請求を行いました。

  • 50万円の損害賠償

となってしまいました。

夫は、情報開示まで行い裁判に400万円以上費やしていたので、金銭的にメリットを得ることは難しかったようですね。

名誉毀損罪で訴えたいがお金がない場合

「名誉毀損で訴えたいと思ったけど、お金がない」

けれども、お金がなくて訴訟を断念するケースもあるようです。

そんな対策法として3点ご紹介していきます。

弁護士保険

出典:エール少額短期保険

急な弁護士費用が発生しても、保険が保証してくれる弁護士保険です。

弁護士だし、月額も高そうと思われますが、月々1080円からスタートできます。

補償内容も下記のように裁判で発生する弁護士費用も幅広くカバー可能されています。

出典:エール少額短期保険

ただ加入してすぐに適用できませんので、あらかじめ予測して加入されることをおすすめします。

法テラス

出典:法テラス

国が設立した法律支援機関で、無料の法律相談や経済的に余裕がない方への弁護士費用の建て替えを行っています。

出典:法テラス

立て替えていただいた費用は分割で返済していくので、お仕事をしながらゆっくり返済できますね。

LINEで無料法律相談できるサービスも開始

電話や直接でなく気軽にLINE で無料相談できるサービスが話題となっています。

いきなりちょっと直接は怖い、気軽に相談してみたいなどあればこのようなサービスを利用してみるといいかもしれません。

相談内容としては10往復程度のメッセージのやり取りとのことですので、事前に伝えたいことをまとめて文章にしてから相談してみましょう。

名誉毀損が認められないケース

名誉毀損にて訴えた際の慰謝料を紹介してきましたが、名誉毀損で訴えても認められないケースがあるケースご存じですか?

「せっかく訴えたが、名誉毀損とならなかった。」

そうなってしまうと己に裁判で費やした時間、お金、精神とつらくなってしまいます。

下記項目を見て、自身の案件と照らし合わせて成立するか確認してみましょう。

違法性が認められない

名誉毀損が成立するには、大きく3つの条件があります。

  • 公共の利害に関する事実
  • 公益
  • 真実であることの証明

が求められています。

(公共の利害に関する場合の特例)

第230条の2

1 前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には,事実の真否を判断し,真実であることの証明があったときは,これを罰しない。

2 前項の規定の適用については,公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は,公共の利害に関する事実とみなす。

3 前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には,事実の真否を判断し,真実であることの証明があったときは,これを罰しない。

刑法

この3つのうち、一つ不足していると名誉毀損罪として不十分として認められません。

過去、認められなかったケースをご紹介しますので参考にしてみてください。

認められなかったけース

  • 政治家のスキャンダルを公開
  • 匿名で雑誌で批判をする
  • マンション建設反対のため建設会社に対して、「地盤が危ない」と抗議活動

まとめ

これまでの記事で刑事告訴した際の費用、慰謝料の相場を照らし合わせてご紹介してきました。

侮辱罪と名誉毀損罪については慰謝料が低く設定されていることから金銭的なメリットはあまり見出すことが難しいでしょう。

SNSの発展とともにエスカレート、複雑化している事件も多く、法の改定が見直し検討の話も出てきています。

しかし、名誉毀損罪についてはいまだ起訴率30%以下と低く推移しています。

出典:あなたの弁護士

ご参考いただき、一つの訴訟を起こす際の試算になれば幸いです。